2018年の11月に中国の天津へ行った。新宿のゴールデン街でたまたま飲んでいた天津在住の中国人と知り合い、「遊びに来たら車を出すよ」と言われたからだ。当時の私は突然訪れた中国ブーム(個人的)の真っ最中。
北京から天津までは新幹線で30分ほど。天津に興味はなかったが、北京にしばらく滞在していたので「せっかくなら」と立ち寄ったのだ。
有名な「天津飯」には出会えなかったが、「天津甘栗」は道端で売られていた。中国人が好んで食べるヒマワリのタネと一緒に購入。
中国って買い食いに困らない国である。
古びたニッサンで迎えに来てくれた天津男に連れられ、一番の観光地だという場所へ。
キラキラとした眼差しで「日本人は三国志、好きだろ」と語りかけられ大いに焦る。
ランドマークだという観覧車へも連れて行ってもらった。街の規模は広島とか仙台くらいだろうか。中国の人にホームタウンを案内してもらうと、比較的新しい場所へ連れて行かれるパターンが多い気がする。まぁ日本人もそうかもしれないが、本音を言えば観覧車より古くて汚い下町とかを見たかった。
と、思っていたら……
翌朝、天津男より「朝食へ行こう」と連絡が入る。私は朝食を食べる習慣がないのだが、「ぜひ天津の朝食を食べてほしい」と言うのだ。連れられたのは、まさに私が切望する”古くて汚い下町”。こういうの待ってたよ!
この食堂はパートのオバチャンたちが切り盛りするカウンターで油条(揚げパン)やおかずをもらい、スープなどは注文してから作ってくれるシステムだ。古びた食券がオシャレ。
なんと、これで1人前の量だという。(トイメンの男性は他人)
この日食べたのは大盛りの豆腐スープと太麺。見た目より味が薄く、言われてみれば朝食っぽい食べ物ではある。が……いかんせん量が多すぎる。早朝だというのにほぼ満席の店内では、中国人たちがムシャムシャパクパクと似たような量の朝食を食べている様子だ。この朝食が中国人のパワーの源なのかもなぁ。天津へ来たら早起きして食べてみるべし。
ところで天津には1泊する予定だったが、件の天津男が「日本人はボッタくられるかもしれない。私が安いホテルを見つけてあげる」と強く言うので、あらかじめホテルを予約しなかった。ところが、市内のホテルを5軒ほどもハシゴした挙句、その全てで宿泊を断られてしまったのである。理由は「日本人はダメ」の一点張り。天津男がとても慌てていたのを覚えている。
バックパッカーものの海外旅行記などを読むと、「その日のホテルを決めずに移動する」というのは古くから旅のスタンダードなはずだ。しかし最近の中国では「外国人お断り」なパターンもあるのか、それとも日本でも地域によってはそうなのだろうか?
結局詳しい事情はわからなかったが、とにかく現在はスマホがある。あてもなく海外をウロつく時は、可能な限り事前に宿を確保しておいたほうがいいだろう。この日はどうにか臭くて汚い場末のホテルに泊まることができました。
ちなみに日光東照宮が有名な「見ざる・言わざる・聞かざる」は中国から伝来したとする説が濃厚らしい。天津のお寺にはかわいい小坊主さんバージョンがあった。