15年前くらいまで歌舞伎町に実在した伝説の漫画喫茶『オアシス』を覚えているか

JR新宿駅の東口を出たら……

アルタの左横の道へ入り……

最初の角を右へ……

さらに最初の角を左へ進んだ先に……

たまに利用しているネットカフェ『メディアカフェ ポパイ新宿店』が……

なくなってるーーーー!!!!!!

 

調べると、ちょうど1年前に閉店していたらしい。確かにここは座席数が多い、各ブースは極狭、完全地下、汚い、空気が悪い、客層が悪い……などなど、コロナ禍の打撃を世界一食らいそうな店舗ではあった。

ただ、とにかく好立地なため、私はしばしば喫茶店がわり、あるいはトイレのために利用していたのだ。そうか、なくなっていたのか……無念。

そうだ、漫画喫茶といえば忘れられない店がある。ちょうどすぐ近くだから久々にあの場所を見に行ってみよう。歌舞伎町のセントラルロードを突き当たりまで進み……

ヒョイと右を向いたところにあるビル。現在は「I ♡ 歌舞伎町」という文字が大きく書かれている(昔はなかった)。

このビルの3階か4階か5階(正確には忘れた)に、かつて『オアシス』という漫画喫茶があったのだ。私が足しげく通っていたのは15年ほど前。当時から残っているのは地下2階のロフトプラスワンと7階のゴンドラだけ。ゴンドラ、がんばってるな。

 

『オアシス』はネットカフェではなく、あくまで「漫画喫茶」だった。パソコンも何台かあった気がするが、基本的には漫画を読むか仮眠をとる他にやることはない。店内は狭く、漫画の品揃えもあまり豊富ではなかった。

さらに驚くべきことに、オアシスは個室どころか仕切りすらない「完全オープンスペースのみ」のスタイルであった。店中の客の顔が見渡せる、要するに「漫画が読める時間制の喫茶店」みたいなもの。椅子はリクライニングではなかったし、言われてみれば防犯もなにもあったもんではなかった。

「オアシス何が良かったのか」と聞かれると、正直うまく答えられない。が、私はなぜかこの店が好きで、週に2度ほどキャバクラのバイト帰りに始発までオアシスで過ごしていた。客のほとんどは仕事帰りのキャバ嬢やホスト。今思えば彼らはオアシスで、なぜあのように行儀よく漫画を読んでいたのだろう?歌舞伎町のおとぎ話である。

その後数年たって、気づいたらオアシスはなくなっていたのだが、あの不思議な空間は今でもたまに思い出すことがある。顔見知りだった店員さんや、いつ行ってもいたお姉さん。彼らは一体、今どこで何をしているのだろう……?

ちなみに、この話に特にオチはない。ただ、いつか当時のオアシスを知る人に出会うことがあったら、あの不思議な魅力を語り合いたいなぁ、と少しだけ思っている。