犯罪被害者なのにマッポに丸め込まれて5000円で色々と無かったことにされた話(前回のつづき)

  • 2025年12月3日
  • 2025年12月3日
  • コラム

ほとんどの読者が忘れてる頃合いですが前回のつづき。

〜前回までのあらすじ〜
19歳だった亀沢さん宅に男が侵入し、あやうく襲われかけるも強気作戦が功を奏して男はベランダから逃走。後日、警察から「犯人を逮捕しました」と連絡があり、いったん安堵した亀沢さんだったが……(詳しくは前回のブログをご覧ください)。

 

 

犯人逮捕の知らせとともに、警察の方は「◯月◯日◯時に小金井警察へ来てください」とおっしゃった。それは平日の昼間だった。今思えば「学校とかバイトとかあって無理」と言えば交渉の余地があったのかもしれないが、当時の私は「国家権力に逆らう」という選択肢があることを知らなかった。よって学校とかバイトを休んで指定された日時に小金井警察へ行った。

大人になりテレビの『警察密着24時』とかを見ていると、一般市民には国家権力に反抗する権利があって、明らかに犯罪犯してる奴の人権だって、それなりに守られる仕組みっぽいことが見受けられて愕然とする。あの時に戻って「ハ? 普通に無理なんだけど?」とか言ってみたい。

さて。この小金井警察署というのがなんとも微妙な場所にあり、地図の読み方もバスの乗り方も分かってなかった私は、武蔵小金井駅からタクシーで小金井警察に向かった(Googleマップなど無い)。たしか3回ほど呼び出しをくらい、そのたびに学校やバイトを休んで行った。

「なぜ被害者であるはずの自分が、バイト休んだうえに交通費まで支払わねばならないのか?」という疑問には早い段階で到達していたが、この件は後述。

 

警察署内にはドラマのセットみたいな取調室があって、今にもカツ丼出てきそうなムードだった。事件のおさらいをしたのち、警察の人はおもむろに “見知らぬ男性10人分の顔写真” を机に並べ、「この中に犯人はいますか?」と私に尋ねた。

ここまでの取り調べで私は、一貫して「犯人の顔を覚えていない」と断言していた。顔を見てはいたが、暗闇だったこと、さして特徴的な顔じゃなかったこと、何より私が事件発生時マトモな精神状態じゃなかったことにより、「メガネをかけていた」以外の情報を何一つ思い出せなかったのである。

よって私は「分かりません」と答えた。するとまた別の男性10人分の顔写真が並べられた。また「分かりません」と答えた。ワイは一体何をさせられているのか? などと言い出せるはずもなく、また次の10枚が並べられる。すると……

 

 

その中に “100%犯人確定男” の写真があったのだ!!!!

 

 

私が興奮気味に「おまわりさん、コイツが犯人です!」と叫ぶと、警察の人は「これで決まりですね……」というようなことを言った。つまり私は “犯人の顔を覚えていないと思ってたけど、実は覚えていた” のだった。「記憶が蘇る」ってヤツである。

犯罪事件においてこういうケースは全然珍しくなく、この「顔写真の中に1枚だけアタリ混ぜる作戦」は、取り調べでよく使われる手法らしい(と後から知りました)。私の人生でも指折りの不可思議体験だったなぁ。

そこから「目視でも確認して」と促され、マジックミラー越しに、警察の人と談笑する犯人を見た。同じ建物内にいたとは想像していなかった。とても他人の家に侵入するとは思えない、笑顔が印象的な男だった。

で、こっからがヤバイのだが、再び取調室へ戻った私の前に、仕込みにしか見えないコワモテの刑事さん(推定60歳)が現れた。『太陽にほえろ』に出てそうな感じというか、たぶん出てたんじゃないかと思う。彼は私に現金5000円をくれ、「これは調査協力費だから受け取りのサインをせよ」と言った。え、ありがとうございます。

書類には「調査に協力したので5000円もらいます」というようなことが印字されていたと思う。私が言われるままにサインし終えると、コワモテ刑事は「今から言う文言をサインの横に書き加えてくれ」と言った。それは以下の内容だった。

 

 

「私は警察の人に警察署まで送り迎えをしてもらったので、交通費に関しては請求致しません」

 

 

……えーと。

これって要するに “本来なら警察は私を送迎する or 交通費を支給しなきゃいけなかった” って意味なのでは? 私の考えすぎなんでしょうか? などと言い出せるはずもなく、私は必死にペンを走らせた。警察の捜査に協力することは国民の務めだと思うので、協力費だとか送迎だとかを期待していたわけでは、もちろんない。

しかしながら、私は1度として「送り迎え」をしてもらった記憶がない。よって少なくとも “虚偽記載を強要された” ことは事実であるといえるのだ。「おまわりさんは嘘をついてもOK」という衝撃の事実は、19歳の私の人格形成に少なからず影響を与えた気がする。お金はいつだって欲しいものだけど、あの5000円は欲しくなかったなぁ……。

 

とかなんとか言いましたけども、これは20年も昔の話。あのころって警察に限らず、今じゃ考えられないような理不尽が、割とまかり通る世の中だったはずなんですよ。なので令和の警察は、さすがにもっとクリーンだと思います。本記事は単なる平成の思い出話であり、警察を断罪しよう等の意図は一切ないこと、ご理解いただけると幸いです。犯人を逮捕してくださった警察の皆さん、ホンマありがとうございました。

なお数ヶ月前、とある免許の発行(運転免許じゃないよ)のため警察署を訪れたところ、窓口のおじさんのシャツの胸ポケットから思っきし紙タバコ(セッターのソフト)がのぞいててわろた。警察署という空間は、令和の今もハードボイルドなのだなぁ。

 

 

この話はまだつづく。吉祥寺との関連性は分からなくなる一方だが果たして……!? 次回「亀沢さん、弁護士にブチギレるの巻」(最終回)お楽しみに!

 

あ、そういえば私が唯一覚えていた情報「犯人はメガネをかけていた」ですが、犯人はメガネユーザーではないと警察の人に聞かされました。記憶って、不確かなもの。